+ プレショコラ・ランデブー おまけ +  ホワイトディに贈る(?)バレンタインディSSのおまけ(堂郁恋人期な頃の手柴SSS)






自分の中で柴崎という女の優先事項が高いことは認めていた。
だが、あいつの中で俺の優先順位が高いかどうかは未だにわからないままだ。気を許しているようで、そうでないような、どこかで自分を守っている。

どうしてお前を守るのがお前自身じゃなきゃだめなんだ?
俺にここまで気を許してくれているのに、一番奥にしまっているお前自身を守らせてくれないのか?


いつの頃からかずっとそう思っているのに、俺がそれを口にしたことはない。
あいつの中で、他の男より少しだけでも優先順位が高いという今の関係が無くなるのが怖いからだ。
俺はそれが怖くて、あいつが本心で俺が必要だと思うまでは、都合のいい男で構わないと思っている自分が情けない。

常に強気でありながら、時折見せる普通の女らしい言動。
本当は甘えたいのに、そう言えずにギリギリまで誰もが知る『柴崎麻子』であろうとする姿。



初めて特別なチョコを貰ってそれを一緒に楽しんだ。
柴崎の綺麗な指がつまんだチョコが俺の口元に運ばれてドキリとする。条件反射で口を軽く開けたとき、少し押し込まれるに入った高級ショコラの味は、多分一生忘れないと思う。
日本酒と一緒に楽しめ、というのでショコラを口の中に残しつつ、グラスを傾けて日本酒を少し口に含んだ。
想像とちがい、すんなりショコラと酒の味が融合して、デザート酒として十分楽しめた。

そんな俺の反応をみながら、柴崎は無意識でカカオパウダーのついた綺麗な指先を柔らかそうな唇に近づけてぺろりと舐めた。
わずかに開いた唇からチラリ覗いた深紅の舌先。俺がチョコラと酒を堪能しているかを気にするような上目遣い。

馬鹿っ、お前それ俺を誘ってんのか!?

・・・と大いなる勘違いをしたくなる。
意識してそんな行動が取れる女なのかもしれないが、どうもそういう趣旨というよりは、本当に意識せずにやったらしく何も気にせず自分もショコラを一粒手にとって、俺と同じように酒と一緒に嗜んでいた。


お前、笠原と一緒にいる時間が長くて、天然なのも移ってきたんじゃないのか?!
頼むから無意識で煽るのは止めろ?!

「お前さ・・・最近笠原に似てきた、とか言われることない?」
「無いわよ」
笠原がすっかり女らしくなってあたしと並ぶ美女な評価だっていうなら在るかもしれないけど?

山猿といわれていた頃よりはあいつが女らしくなったということは認める。
だが誰もが認める美女、っていう感じではない。なぜならあいつが女なのは堂上一正の前限定だからだ。
「お前も誰か1人の為に可愛い女になる、ってことはあるのか?」
「さあねー」

まあ当分そんな姿はみれないんだろうな、と軽くため息をついた、俺自身に。





fin

(from 20130316)